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合同条件について

三角形の合同条件について一つ気づいたことがあったので
適当に調べたらあんまり見つからなかったのと、合同条件丸暗記系の記事が多くてうんざりしたから書く
本当に正しいのかちょっと不安になってる
間違ってたらこっそり教えてね
あとあんまりきちっとした数学語を使ったり正しい図を描くのは怠いから細かいところ雑でも許してね

知ってたこと

中学校くらいで習う三角形の合同条件

  1. 三つの辺がそれぞれ等しい
  2. 一辺とその両端の角がそれぞれ等しい
  3. 二辺とその間の角がそれぞれ等しい

合同条件の意味

そもそも合同条件って何?みたいな話がある
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例えば上の三角形は一辺の長さが3ってことしか分かっていないから上記の合同条件を満たしているか分からないんだよね
でも実はこの二つの三角形は合同(コピペしたので)
つまり、合同な三角形であっても合同条件を満たしているか分からないことがあるってこと(当たり前なんだけども)
じゃあ合同条件の意味は何かというと、「これを満たしていれば絶対合同と言える条件」ってのが大事なんだよね
「一辺の長さが等しい」だけでは合同かもしれないしそうじゃないかもしれない
でも合同条件のどれか一つでも満たしていれば絶対合同って言える
これを満たしていれば絶対合同ってのが嬉しいんだね

で、そうすると次の疑問が浮かぶ
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上の三角形は絶対に合同って分かるよね
多分合同の定義が長さと角度が全部一致とかのはずなので
だから合同条件を「対応する三つの辺の長さと三つの角度がそれぞれ等しい」にしてもいいんじゃないか?という考えが出てくる
先述の"これを満たしていれば絶対合同って言える"ってのはこっちの条件にも当てはまるので
まぁなんでこれを合同条件にしないのかは割と明らかで、これは確かめないといけないことが多くて大変だから
三つの辺だけ確かめれば十分なのにわざわざ三つの角度までいちいち調べたく無いもんね
たったこれだけ示せば十分であるってのが合同条件の二つ目の嬉しさなわけだね

なんでこの三つは合同条件なのか

合同条件は別の見方をすると「他に三角形が考えられない」条件と言える
例えば最初にあげた図では一つの辺の長さが3であることしか分からなかった
一つの辺の長さが3の三角形なんて無数にあるので、それだけでは二つの三角形が同じ!とは当然言い切れない
この条件を満たす三角形はただ一つしかない!って言えないとダメなんだね
これを踏まえて合同条件を見てみる
1つめの条件は「三つの辺の長さが全て決まれば三角形は一つしか考えられない」ことを言っている
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このような作図を考えると分かりやすいと思う
例えば、AB=6,BC=5,CA=4を満たす三角形を考えるとする
まず長さ6の辺ABが存在することは確かなので長さ6の線分を描く(赤い線)
すると点Cは点Aから距離が4の場所にあるはずなので、点Cが存在する可能性のある場所は点Aを中心とした半径4の円の円周上である(左の円)
一方で点Cは点Bから距離が5の場所にあるはずなので、点Cが存在する可能性のある場所は点Bを中心とした半径5の円の円周上である(右の円)
点Cは二つの円周上に存在する必要があるので、円の交点2点のどちらかである
こうして出来る三角形ABCは上の図の通り二種類あるけど、これらが全く同じ形なのは直感的に明らかだと思う

2つ目の条件も同様に「一つの辺とその両端の角が決まれば三角形は一つしか考えられない」ことを言っていて
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作図はこんな感じ
長さが決まっている辺をとりあえず描いて(赤い線)
そこから指定された角度で半直線を両端それぞれから描いてみる(青い線)
交点が一箇所しかないので三角形は一つに決まる

3つ目の条件も同様
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長さが決まっている辺を一つ描いて(水平な線)
そこから指定された角度で指定された長さのもう一つの線を描いてみる(もう片方の赤い線)
三つの頂点の場所が決まるので三角形は一つに決まる

他に合同条件はないのか

合同条件は辺の長さと角度の情報の合計6つのうち3つを使っている
でも例えば「三つの角がそれぞれ等しい」なんてのは合同条件に入ってない
これについても検証する

三つの角がそれぞれ等しい

これが合同条件で無いのは割と明らか
三つの角が等しいだけなら三角形を大きさだけ2倍3倍しても成立するから、この条件を満たす三角形が無限にあるのは分かりやすいと思う
ちなみに大きさを変えただけの三角形を相似なんて言うから、この条件は相似条件の方には入っている

一つの辺と、2つの角がそれぞれ等しい

合同条件の2つ目に似ているけどちょっと違って、角の場所が指定された辺の両端以外の時
この時2つの角の情報から3つ目の角の大きさが出る(三角形の内角の和は180°なので)
だから実は合同条件の2つ目と同じ状態になる
じゃあなんでこれが合同条件に入っていないかというと、おそらく対応する角が分かりにくいからだと思う
例えば、
AB=DE=3,A=D=40°,B=F=53°
のような制約は一見上記の条件を満たすように見える
しかし実際は対応する辺と角が異なっているのでこれは合同ではない
辺と角の対応を確認する上で分かりやすいように"両端"の文字が入っているんだろうね

二つの辺と一つの角がそれぞれ等しい

合同条件3つ目に似ているけど角の場所が二つの辺の間じゃ無い時
これは作図をすると分かりやすい
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長さが決まっている辺を一つ描く(赤い直線)
そこから指定された角度で半直線を引く(青い線)
また、もう片方の端点を中心とした指定された長さの半径の円を描く(赤い円)
そうすると赤い円と青い線の交点が最後の頂点の候補なんだけど、見ての通り二つある
この条件だけだと三角形は一つに絞れないからこれは合同条件と言ってはいけないんだね

知らなかったこと

最後に描いた半直線と円の図をよく見ていると、円の半径が大きい時はどうなるんだ?みたいな疑問が出てくる
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こんな風に、赤い直線の長さ\leq円の半径 が成り立っている時は交点が一つしかない
これなら三角形は一つしか存在しないから、合同条件の一つとして言っていいはず
今まで合同条件は三つしか無いかのように思っていたけど、実は
「二辺の長さがそれぞれ等しく、その二辺の間でないような角のうちの一つも等しく、先の二辺のうちこの角の頂点を端点としていない方の辺の方が長い」
という4つ目があるんですね〜
長いからもし覚えるなら
A=D,AB=DE,BC=EF,AB \leq BCならば三角形ABCとDEFは合同」
とかかな
これを中学生で習わないのは複雑だからなのか何なのかは分からないけど、とにかく合同条件は3つしか存在しない!みたいに思ってる人がいたら驚いてくれるんじゃ無いかな
知ってる人からしたら当たり前なんだろうけどね

終わりに

一応書いておくとこの記事の主張は「合同条件は4つ覚えろ!」では無くて、「合同条件が何を表しているかだけ覚えておこう」です
もちろん中学で習う3つは覚えておいて損は無いけど、条件だけ丸暗記するのは意味も薄いし何よりつまらないかなと思う

合同条件(or相似条件)は余弦定理なんかと結構関わりが深いのでそれも軽く書いておく
余弦定理:a^2=b^2+c^2-2bc\cos A
例えばこの形でaの長さを求めるのは、「二辺(b,c)とその間の角(A)から残りの辺(a)を導くと言うこと」
これは二辺とその間の角からもう一つの辺(ひいては三角形の形)は一意に決まると言う合同条件での主張の拡張で、具体的なもう一つの辺の求め方を教えてくれていることになる
こうやって余弦定理を使って考えても実はこの記事の4つ目の合同条件が見えてくる
改めて書くと、「二つの辺と、その間ではない一つの角が等しい時三角形は合同と言えるか」と言うものだった
言い換えると「辺a,bと角Aが分かっている時辺cの長さは一意に決まるのか」
これを余弦定理で考えてみると
c^2-(2b\cos A)c+(b^2-a^2)=0
と言うcについての二次方程式の正の解はただ一つか ということになる
ただし今回はあくまで合同条件の話であるから、少なくとも一つは条件を満たす三角形が存在すると言う仮定をおいて良い
すなわち、上の二次方程式の正の解が少なくとも一つは存在すると仮定する
この時、この二次方程式が正の解を二つ持つ必要十分条件は、
f(c)=c^2-(2b\cos A)c+(b^2-a^2) として
1: f(0)>0
2: \frac{D}{4}>0 (\frac{D}{4}二次方程式の判別式)
この二つであり、変形すると
1は f(0)=(b^2-a^2)>0
2は \frac{D}{4}=(b\cos A)^2-(b^2-a^2)=a^2-b^2 \sin A>0
1が成り立てば2が成り立つのは明らかなので結局
a > b
が合同条件であることが分かり、これは上での主張と一致する
培って来た知識が色んな部分で繋がって楽しいね

















おまけ

今回三角形の内角の和が180°であることをさらっと書いたけど証明出来無い人は大事な定理なので適当に検索して証明覚えようね
あと余弦定理は三平方から出るけど三平方が証明出来ない人はやっぱり大事な定理なので適当に検索して証明覚えようね