代数学ふんわりイメージ記事(随時更新)
基本的に環はA,B,R、イデアルはI,J、加群はM,Nで表す
極大イデアル
それを含むイデアルは全体だけ
少しだけ要素を追加する事が出来ない(これ以上要素を追加するなら全体になる)
->周りの要素の見分けが付いてない感じ、要素を内と外でしか区別出来ない(外のやつが全員同じにしか見えない)
->外には「内に入って来れる」なんて特別な性質を持ってるやつは当然いない(つまり素イデアル)
内と外から任意に一つずつ取ってくれば線形和で1が作れる(互いに素)
->外のやつは内のやつらを0と見れば(Iで環を割れば)掛け算で1になれる(体になる)
体
みんなに逆元が存在する
イデアルが自明なものしかない
0以外みんな単元なので、掛け算で考えると実質的に1と0しか存在しないとも見れる
->極大イデアルで割ると体なのは、極大イデアルの内と外の区別が付いてない性質のせい(内だったやつが0、外だったやつが1にされてる)
0以外みんな実質1なので当然整域
素イデアル
会員以外は入れない排他的なグループって感じ
逆に言えば会員になれそうなやつは既に全員入っている
整域
0が特殊な会で(一人しかいないけど)、0以外のやつは入れない
素イデアルで割ると整域になるのは排他的会員制を持つ素イデアルが0になってるから
PID
整域で、全てのイデアルがaAの形で表せる
イデアルは必ず全ての要素の共通因子(最大公約数)を含んでしまう
例えば整数だと、Iの要素のうち絶対値の最小値が共通因子になる(ならないものがある場合そいつらは互いに素なのでイデアルは全体になって1が入って云々カンヌン)
あとはk[X]なんかも、係数部分は実質1であることを考えると環の要素自体がx^nの形になるので、どんなイデアルも次数の一番小さいやつが明らかに共通因子になるなぁと
逆にZ[X]なんかだと、2とXで生成されるイデアル(2,X)は2とXの共通因子である1が入らないからPIDでは無さそう
素元
素イデアルを作るやつ
そいつ特異の性質があるって感じかな、他のやつが作り出すことはできない性質を持つ
既約元
実質1である単元を使わないと表現出来ない奴(ただし単元そのものは除く)
これも特異な性質がある(つまり素イデアルと一緒)ってことのように思えるけど、単元は常に1と全く一緒じゃないのが肝
つまり単元が特異な性質を持てるような奇怪な環だったりすると,素元だけど既約元じゃないのが発生したりするし、 特異じゃないけどちょうどいい感じに表現出来ないやつなんかは素元じゃないけど既約元だったりする
そんでその(単元が特異な性質を持ててしまう)奇怪性がなくなるのが整域の時で、素元は必ず既約元になる
整域って0を特殊と見てるだけだと思ってたんだけど、
p(1-ab)=0 => p=0 or ab=1
とかが成り立つってので単元とかにも影響を及ぼしてくるっぽい
素元も既約元も体では考えなくていい(体は全部実質1なので特異な性質も何もない)
UFD
単元と0以外素元で分解出来る整域
つまりどんな元もその特異性で分解出来る
具体例を出すと、Z[√-2]はUFD、Z[√-5]はUFDじゃない
UFDじゃないというのはどういうことかなんだけど、特異性を持たないものが存在するってことかなぁ
いまいちイメージ出来ないな、上で挙げた例も証明は出来るけど微妙
この世界では{単元,0,素元の積}しか存在しない
->既約元は必ず素元になる(つまり素元と既約元が同値)
([既約元だけど素元じゃない]ってのは[特異じゃないけど分解できない]ってことだったんだけど、この世界では特異になるまで分解できてしまうのです)
ネーター環
任意の(素)イデアルが有限生成(PIDだと一つだったのが有限個を許すように)(なので当然PIDはネーター環)
イデアルの増大列が止まる
空でないイデアルの集合族は極大元を持つ
まだ線形和に含まれてない元を選んで線形和を拡張することを繰り返せば有限回で全体になるやつって感じかなぁ
イデアルの増大列が止まるってことは、無限に分解を繰り返せる元がないってこと
->この世界ではなんでも有限個の既約元に分解できる
->[既約元->素元]が成り立てばUFD
->UFDと[既約元->素元]が同値な世界
to do:PIDはUFD
逆に反例としては無限に分解を繰り返せる元が存在するときで、例えばUFDでない世界として代数的整数って世界では、
2=√2*√2
√2=√√2*√√2
√√2=√√√2*√√√2
...
みたいな感じで無限の分解が存在するらしい
加群
環をスカラーとするベクトル空間のこと(この理解はイメージしやすいけど危うくて、本当は環が体じゃないとベクトル空間とは言わないので、無意識のうちに環を体と思ってしまいそう)
環のイデアルはその環の加群になる(環自身が加群であり、どのイデアルもその部分加群になっている)
加群の有限生成
ベクトル空間でいう基底が存在する感じ
名前から分かる通り基底は有限個(無限個がありなら全部!で終わりだし)
dimM<∞って表現も出来る(dimはベクトル空間の概念なのでA:体が必要っぽいけど)
気をつけないといけないのは部分加群が有限生成とは限らないところで、これはAが体じゃない弊害なのかな、まだよくわかってない
ネーター加群
つまりどんな部分空間にも基底が存在する
まだあまりイメージわかない
当たり前だけどネーター性は冪等性がある
ネーター環とかなり似ていて、増大列が止まったり極大元持ったりといった性質が共通する
であるので、[Aがネーター環]と[A-加群として見たAがネーター加群]は同値
商体(Q(A))
整域Aに対して分子分母ともにAの元である分数を定義したもの
もちろん分母の方には0は禁止、整域なので急に0が発生したりすることはない
同値関係(通分)や足し算掛け算はイメージ通り
分数になったので当然逆元が存在する(名前からも想像できる通り体である)
(A上)整
A⊂Rに対して、Rの元がAのモニック多項式の解ならA上整
Rの元が全部A上整ならRがA上整と呼ぶ
Aの拡張の中で、ある程度Aと仲良しな元って感じかなぁ
例えばα∈RがAのn次のモニック多項式の解の時、A[α]の元は実質n-1次以下になる(割り算が出来てしまうので)
完璧に仲良しってわけではないけど有限で抑えられるくらいの関係?
Aと仲良しなやつ同士は性質が似ていて、A上整なやつ全体はRの部分環になる
整閉包
Aの商体Q(A)のうちA上整なもの全体
つまり、モニック多項式の解になれる分数全体
当然分母が1のやつらは全員解になれるので整閉包に含まれる
整閉包がAと一致するとき(つまり分母が1の分数しかモニック多項式の解になれるのがない時)Aを整閉整域という
例えば整数だとp/qはq=1じゃないとモニック多項式の解になれなさそうだよね、一番次数の高い項の分母が強すぎるから
->このことに関して一般化っぽいことを考えると、[qが単元でない->qには他の要素では表現出来ない特異性が存在する]が成り立つ時、Aの整閉包は分母が単元の時だけとなる
->つまりAがUFDの時、Aは整閉整域