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思わず声に出して読みたくなるブログ

数学論文をtexで書く時の備忘録

検索するといくらでも出てくるが、初めて論文を書いた(書いている)人間の生の声として

エディタ

スペルの補完機能や、PDFをリアルタイムで表示してくれる機能は個人的に必須

筆者はプログラミングで普段使いしている vscode をそのまま使っている
スペルミスを教えてくれる拡張機能があるので、入れると良い
スペルが間違っていると次以降同じ単語を書く時に補完が効かなかったり、逆にずっと間違った方に補完されたりする
正しいスペルの候補を出してくれたり、ソフト側が知らない単語(専門用語など)はその場でワンクリックで教えられるので非常に使いやすい
他の環境についてはどのようなものがあるかは分からないが、何かしら自動でスペルチェックする機能は使うべき

その他 vscode で良いと思った点は

  • PDF 側を⌘を押しながらクリックで tex の該当箇所に飛べる
  • tex 側のラベルのある場所にカーソルを合わせると PDF の該当箇所に飛ぶボタンが出てくる
  • @を使う事で簡単にギリシャ文字が打てる(あんまり使わない)

などがある

自動でバックアップを取ったり、複数人で同時に編集出来るエディタもあるらしい
俺もそういうのが良かった
色々調べたり、先人に聞くのが大切

ラベル

Lemma や Theorem には必ず label を付ける
後で参照するかどうかに関わらず付けた方が良い
理由としては、

  • その定理が何についてのものかが後からぱっと見で分かる
  • 折り畳んでいても内容が分かる
  • 参照先でも何を参照しているのかがぱっと見でわかる
  • 定理を一言で書き表そうとする際に理解が深まることがある
  • ラベルにカーソルを合わせる事で PDF の該当箇所に飛べる

などが挙げられる

ラベルを付ける際は \label{lemma:augmenting path} の様に、最初に lemma: や theorem: のようなカテゴリを付けると良い
これをするメリットとしては、

  • 名前の衝突を避ける(例えば、augmenting path についての定義と定理でラベルの名前が衝突しない)
  • 参照の際エディタの補完候補を絞れる(参照する定理のラベルの名前を忘れていても、とりあえず theorem: まで打てば補完候補が減り見つけやすい)
  • 定理が後から(より強い結果を発見するなどして)補題に変わった際、Theorem のまま参照してしまう自体を防げる

最後のについてもう少し具体的に書く
Theorem \label{A}Theorem \ref{A} と書いて参照していたとする
その後定理が補題に格下げされた時、Lemma \label{A} とだけ書き直して、参照先では Theorem \ref{A} のままにしてしまうことがある
このミスは、初め Theorem \label{theorem:A}Theorem \ref{theorem:A}と書いておけば、格下げの際は Lemma \label{lemma:A} と書き直すため、参照先でTheorem\ref{theorem:A} のままにしてしまっていても、「theorem:A と言うラベルは存在しない」と言うエラーによって気づけるようになる

表記とか

なるべく既に論文で使用実績のある表現を用いる
英語で数学論文を書く人の為のチートシートみたいなものがあると便利
単語を打ち込むと arxiv の論文でその単語が使われてる箇所を検索してくれるサイトなんかもある(一緒に使う前置詞などを知るのに便利)

同じ表現が連続することを過度に恐れない
文法的に間違ったりしていなければそこまで問題はない
書き直すにしても、そこの表現に力を入れるのは全部書き終わってからで良い

数式も文の一部と思って句読点を付ける
数式モードで 2,3 個の数式を書く時などもきちんと , や . を付ける

表現が分からない箇所は飛ばしたり適当な機械翻訳を書くのではなく、日本語をそのまま書いておく
日本語で書かれている箇所は後から見つけやすく、何を書きたかったのかも一目でわかる
下手に機械翻訳の英文などで埋めてしまうと、後から見返した際ぱっと見で気付きにくい